さーて、今までで一番気になるムーンブルクへとやって来
→かえれ
からくりビデオレターはもう放っておくとしまして、どうやらここは正真正銘のムーンブルクの模様。この世界ではね。
主人公たちが船着き場に降りるや、怒声と共に一人の人間がすっ飛んできます。
「誰だオマエたちっ!!
ここは人の立ち寄る島じゃない。
魔物の仲間でもないなら、すぐに立ち去れ!」
うーんのっけから好戦的です。というより敵意と警戒心剥き出しです。
モンゾーラにせよオッカムルにせよ、今までの島では挨拶と歓迎が待っていたというのに。
でも戦争状態と考えればこの塩対応が当たり前なのかもしれません。むしろ港に入る前に沈められなかっただけマシというものです。
その後
顔がマヌケだというあんまりな理由で誤解は解けたものの、ビルダーと名乗った途端に一転して今度は救世主扱いです。
口振りからして伝説でも残ってるんですかね。その者エッチなほんを開きて超狭い個室のトイレに降りたつべし。
このいきなり喧嘩を売ってきた男の名前はリック。ムーンブルクの兵士長だそうです。
案内されて向かった先にはまぁ見るからに王様だなという感じの王様と爺さん、あとうつ伏せで死んでる兵士。
新手かと驚く王様に、リックは自信満々に「我らを戦いに導く破壊の使者です!」と主人公たちを紹介します。
そうですか救世主なのに破壊の使者ですか。うーんこいつはキナ臭い。正直オラワクワクしてきたぞ。
とりあえず身分証明を兼ねて王様の頼みでどくけしそうを作り、地面に転がってた将軍アネッサを治療します。あんた将軍だったのか。あと生きてたのか。
毒が消えて再び戦えるようになった事を喜ぶアネッサ。主人公が本物だと分かり、破壊の使者たるビルダーが来てくれたと喜ぶジローム爺さん。
ちなみに例によって全員ハーゴン教団の信者です。そして彼らが戦っているのもハーゴン教団の魔物です。うーんこの。
で、この避難場所からちょっと行った先にあった占拠済みムーンブルク城をさくっと奪い返した後に事情が聞けたんですがね。
リック「僕たちムーンブルクの民は、ハーゴン教団の教えで教団と戦い続ける事が義務とされているんだ」
アネッサ「敗北が訪れし時、破壊の使者たるビルダーが現れる。そして戦いは継続される。
この地の古い伝説だ。教団が破壊するものを作るビルダーこそ、天がつかわした破壊の使者。
戦争こそ、破壊の極地……勝つ事も負ける事も許されず、永遠に戦い続ける事が我らの宿命なのだ」
やべえな今までで一番イカれてるわここ。正直オラもっとワクワクしてきたぞ。
壊しすぎない程度に壊してハイ続けてっていう、やってる事は他の島と同じなんですが、
モノが畑や鉱山から戦争になっただけでこうも印象が違ってくるのか。実に陰惨でよろしい感じです。
しかし唯一リックはんなもん冗談じゃねえと思っていたようで、主人公とシドーがいれば教団に勝てるかもしれないと喜びます。
当然周りからは驚かれたり咎められるもののリックはあくまで主張を変えず、勝てたらからっぽ島に行ってもいいと身売りしてまで協力を要請。
まあ引き受けますよね。
「ありがとう…感謝する。
僕は、死ぬのがイヤだ…。
僕は、絶対に死にたくないんだ!」
あー……これは……。
いや、現段階ではまだ何も言うまい。たださあ、RPGのお約束からいうとこの手の奴って死の恐怖に負けて裏切るか、
克服して主人公庇って死ぬかのどっちかなんですよね。歴史の積み重ねは君にあまり明るい未来をもたらさないようだぞリック君。
ここからは城を修復して陣地を拡大していきます。
城を直すには、そこら辺に落ちてる「城の壁」を拾って壊れた箇所を埋めていけばオーケー。
作る物が畑や酒場から玉座の間やら作戦室になっただけで特に今までと変わりません。
ある程度形になってくると敵の襲撃があるのも同じ。さっきの説明のおかげで出来レース感がいつになく半端じゃないけど。
そうやって修復作業を進めていると、ちょっと城を囲んでる敵の軍勢を偵察に行ってみようとリックが言い出します。
えっそんな気軽に見に行ける場所なの。
思ってたよりずっと近かった。
わざわざ丘の上から回り込んでますが、ほんと城出て目と鼻の先って感じです。まあ包囲されてるってのならそりゃそうか。
どうやら魔物たちもビルダーの出現を喜んでいるみたいです。滅亡されちゃっても教義的に困る教団側としては、
城まで占領しちゃったのはちょっとやり過ぎだったと反省しているらしい。朝礼で生かさず殺さずについて復唱させられてそう。
さて、偵察も済んだし城へ戻りましょうか。
………………。
つっこめー。
おおこりゃすごい数だ、奥からワラワラ湧いてきた。
っていうかこっちの攻撃が一切通りません。あわよくばこの場で壊滅させてやろうと目論んでの突撃だったのに、
無敵シールド持ちじゃどうにもならんわ。全滅させちゃったらシナリオ上笑える事になるからこういう設定になってるんでしょうね。
さすがのシドー君も若干弱気です。破壊神といえどシステムの神には勝てなかったか。
本格的に全滅する前に引き上げるとしましょう。おーい皆もう帰るぞー、おーいシドー、リックー……おーい……?
ごめんリックなんか死んでたわお前。
でもこれで二度と死の恐怖に怯えずに済むぞ、良かったな。もう死んでるからな。
*****
アネッサ「ご苦労だった。偵察を終えてきたのだな」
うん、してきた。敵すごく多かった。
あとリック一回死んだけどごめんな。
戦力の確認も済んだので再び城の修復に努めます。
なにせ場所がないので、玉座の間を作業室兼寝室にしたり畑に芋を植えてなけなしの食料を確保したりと、
気合いと精神論だけで戦ってる滅亡間際の負け犬感強くてこれはこれで嫌いじゃない雰囲気です。
ジロームさんなんかは50年もこんな調子で戦争し続けているそうで、戦力増強するのはいいが勝つなよと釘を差されました。
他に何していいか分からないからって気持ちはまあ理解できんでもないですが、そんな事も言ってられんのでとりあえず一回目の鐘を鳴らします。
広がれ新しい洗脳の輪。
この一発でリックと王様がビルダー堕ち。アネッサはともかくジロームさんも時間の問題っぽい。
王様から正式に城の再建命令も下されました。今のままチマチマやってたんじゃどうあっても教団には勝てませんからね。
ただ陣地を広げようにも定期的に襲ってくる敵が邪魔……という事で、敵を引っ掛ける「トゲわな」の作成をアネッサから依頼されます。
からっぽ島でもそんな話が出てた通り、どうやらムーンブルクで新しく作れるようになるのは軍事設備メインらしい。
海から攻めてきたハーゴン教団の部隊に向けて、高台と斜面に設置した砲台から海岸へ一斉掃射を行って挽肉に変え、
運悪く死ねなかった奴が千切れた自分の腕を探しながらママァ、ママアァー!!と泣き喚くような光景が眺められるのでしょうか。楽しみですね。
ついでに新しく取れた素材で戦士の登竜門はがねのつるぎを作って喜んでいると、何やら深刻そうなアネッサさんに話しかけられました。
前から気にはなっていたんだが、この城に敵方のスパイがいるかもしれないと。
ああ、そういや前にもそんな話がちらっと出てましたね。誰なんでしょう。そこにいるついさっき死んだばかりの死にたくない人でしょうか。
詳しい話を聞きたいところですが、なになに?と皆が寄ってきたからかアネッサは話を打ち切ってしまいました。
ただし、とアネッサは最後に主人公へ忠告します。
「戦場では簡単に人を信じるな。
言葉ではなく、行動によってのみ人を信じろ。
キミは、人がよさそうだ。この城では特に、人は疑ってかかれ。
私の事も、時には友人の事も、な」
そっすね。
一人スパイが出ると全員が疑心暗鬼になって組織が崩壊するとジロームさんも言っています。
といっても現時点で一人ずつ拷問にかける訳にもいかないので、作戦会議室を作る、新しく来た兵士に武器を配る、
掘ってきた大理石を使って城の壁を更に修復といった依頼を地道にこなしていきます。
途中で一回敵の襲撃があり、壊せないなら飛び越えればいいとばかりにくびかりぞくに城の壁を走り高跳びされてしまったので、
こいつを防ぐ為にまほうの作業台でデインバリアを作成。壁に設置するタイプのトラップです。
置くとこんな感じ。
近付く魔物を弾き飛ばす効果があります。これで多い日も安心。くびかりぞくが。
残す所は城門くらいと、城の再建も着々と進んでいます、が。
シドー「兵器、か。
だが、そんなの所詮はモノだろ? 実際に敵を倒すのはオレたちだ。
物を作るのもいいが…頼りすぎるのもどうかと思うぜ?」
うーんピリピリしてんなあ……。
2回目の鐘も鳴らしてビルダー堕ち勢が増えたり、一般兵がスクルト覚えてパワーアップしたりと良好な空気の中で、
シドー君周りだけ緊張感が抜け切ってません。キモい方のメドーサボールが大喜びしてそう。
スパイ問題に関しても一緒に戦う奴を疑って面白いのかよって不快そうな反応ですし、
これが乙女ゲーだったら選択肢で人の心の裏側や汚い面を見せ続けたらバッドエンド一直線するタイプの攻略対象キャラです。
エロ本の事すら知らないような破壊神にはピュアピュアな心で恋して愛してSOSしなければなりません。
噂に聞くラーの鏡があれば人間に化けてる魔物を見破れるみたいですが、見付かったとしてもそれをシドーに向けるのはまずくないですかね。
ここまでオレは違うオレは破壊神なんかじゃないと自分に言い聞かせてどうにか保ってきた精神が、真実目の当たりにして一気に崩壊しそう。
この手の子には周りの人間が「あなたは大丈夫だよ、あなたはそんなんじゃないよ」と信じて言い続けてあげなければいけないというのに。
まったくひどい話ですよ。
アネッサ「…ところで、クリエ。キミの相棒のシドーとは付き合いが長いのか?
私はムーンブルクの将軍として様々な兵士を見てきたが…あんなに強い戦士には出会った事がない。
ただ…戦争は規律が大切だ。身勝手な言動は、味方全員の危険を招く。
シドーは欠かせない戦力だが、あの無鉄砲さが気掛かりだ。キミがうまく抑えてやるのだぞ…」
はい。
*****
壁を直しました。トゲわなも設置しました。デインバリアでジャンプによる侵入も防ぎました。
うむ、これで敵に対する備えは万全ですね!
ダメです。
全力で爆撃食らってます。なんという事でしょう。ジャンプは防げても魔法による砲撃には無力だったとは。
どうにか撃退はできたもののこのままじゃマズいので、いよいよ本格的な城門の修復に取り掛かる事になりました。
例によって主人公がささっと描いた設計図はこんな感じ。
思ったより本格的な城門ですね。今に始まった話じゃないとはいえ、到着するや兵士を治療し城を直し兵器を作り果ては城門まで築くと、
とりあえず現時点で一番スパイとして疑わしいのは主人公だと思います。歴史映画なら余裕で3回は処刑されてそう。
なお今回の戦いでシドーの凄まじい暴れっぷりに感動した一般兵ABCが、彼をアニキと呼ぶようになりました。
純粋に慕ってくれる手下が増えてシドー君の気持ちもちょっぴり持ち直したようです。良かったね。
しかし君、下半身方面の知識はさっぱりなのに惚れたって感覚は分かるのな。まあ強さに惚れたって意味だからまた違うのかもしれんが。
大規模建築なので建築はいつものように愉快な仲間たちがやってくれますが、今回、建材集めは主人公が行わなければいけません。
そういえばいつもは最後の鐘を鳴らしたあたりでやっと参加してましたっけ。早いぶん未熟だから補助が要るって事かな。
大理石を掘ってきては片っ端から壁に加工して箱に放り込んでやればすぐ完成します。
できあがり。
ちなみに壁のバリスタは実際に撃てます。殴った方が早いし使う機会はあんまないでしょうけど。
まだまだ足りない物だらけとはいえ、ひとまずこれで籠城戦を行う最低限の体裁は整いました。
あとはひたすら引き篭もっていれば当面の安全は……と思いきや、ここに来てからずっと続いてる消極策にシドーは不満な様子。
せっかく城門が出来たんだからと、こっちから打って出るよう全員に呼び掛けます。
当然の判断としてアネッサに却下されたものの、シドーもまたこれを一蹴。なんと主人公を連れて独断で突っ込んでいってしまいました。
これはいかん。戦争でこんな真似しでかそうものなら軍法会議まったなしです。というか主人公もさすがに止めろや。
あっという間に包囲軍の前に到着したシドーは、敵大将であるトロルの容姿と挙動をコケにしまくるという
知的な作戦で挑発に成功。
城門までおびき出されてきた包囲軍と、そのままなし崩しに戦闘に突入してしまいます。あーあ……。
勝つには勝ったがアネッサ激おこ。当たり前です。
今回はお前が全面的に悪いぞシドー。
「……黙れよ。勝てたんだからいいじゃないか」
あああだからこれはいかんって! さっきから何もかもが悪い方へしか向かってねえぞ!
何か! 何か明るい材料はないのか! 誰かシドー君の心が上向きになるような材料を!
そこのメドーサボールは何もしなくていいからちょっと黙ってて。
ただまあ軍のトップという責任を背負ったアネッサ以外は、シドーの勝手な行動に眉をしかめつつも、
マジで勝てたという事実の方を喜んでいるようで、王様やジロームからは概ね高評価です。
これを高評価する国の軍隊任されたくねえなあ……。
アネッサさんの胃に穴が開きそう。ロトのかがり火作らせてこれを戦意高揚のシンボルとするのじゃとか言ってる場合じゃねえぞ。
そりゃモチベーション保てるような象徴は大切だけどさ……てな事があった激動の一日の、その日の夜。
シンプル1500シリーズ・THE密談。
『しかし、この世界は所詮偽り。
勝っても負けても、いずれ滅びる運命だ…。
だが教団の手先となれば、仲間として滅びの日から救ってやろう…。
どうだ? 悪い話ではあるまい?』
「はい…あくましんかんさまの、ご命令のとおりに…。
自分の、信念に従って」
もうちょっと隠す努力しようよリック君。
信念って言っとけばアネッサと思わせられると目論んでんじゃねえぞ。
*****
翌日、主人公とシドーは昨日完成しばかりのロトのかがり火の前に立っていました。
この島の人間が何かにつけて口にする「信念」という言葉がまだ良く分からないというシドーに、
そんなもんでも掲げてなきゃ戦争なんてやってられないと答える主人公。いかにもそれっぽい答えに若干イラッとしつつも、
やっぱり良く分からないままのシドー君でしたが、それでも主人公を信じている事だけは確かだそうです。
その上で聞いてきます、ルルと3人で出所祝いをした時の話を覚えているかと。
いよいよシドーも自分の中に膨れ上がる得体の知れない力を気のせいでは済ませられなくなってきたのでしょう。
「オレに何かあったら、オマエがオレを思いっきりぶん殴って目を覚まさせてくれ」
オレが信じてやるんだからガッカリさせるような真似をするなよと笑うシドー。
声を聞き付けたのかそこへ王様もやってきて、やっぱり主人公たちはここの人間とは違うという事、
そして立て続けにビルダーの鐘の音を聞いた事によって多くを思い出し、また知ってしまったという事を告げます。
当然じゃあそれは何なんだという話になりますが、丁度そのタイミングで城の外れの方から声が聞こえてきました。
なんか倒れてます。
ムーンペタか……言われてみればそんな町があったような無かったような……。
聞けばハーゴン教団に襲われたようで、このままだと城も危ないから至急迎え撃つなり何なり準備しろやと警告に来てくれたようです。
ところが次の瞬間、倒れた兵士を狙い撃つどころか辺り一面まとめて消し飛ばさんばかりの大爆発が起こり、そのまま兵士は殉職。
どうやら誰かが雑にイオナズンを放ったようです。狙いが適当とはいえイオナズンはイオナズン。そんな高等魔法を使える奴とは一体!?
えらい勢いのある自己紹介と共に登場してそのまま帰っていったのは、ジローム曰くハーゴン三兵団。
名前からして四天王ポジに違いありません。というかあったのかそんな組織立った軍隊。ただ適当に集まって暴れてるだけだと思ってた。
なんで攻めてこないんだとシドーは不思議がりますが、そりゃ攻めたりしたらムーンブルク滅んじゃうからですよ。
つまりこれだけ壮大な自己紹介をしておきながら決定打を与えるのは自重しなければならない訳です。ラーメン三銃士の方が余程仕事してます。
シドー君は先手を打ちたがってますけど、無視して籠城してれば適当なところで引き上げていってくれますよきっと。
キモい方のメドーサボール『よい考えです! ビルダーも絶対やっちまえって思ってます! なんなら私も力貸しますよ!』
もうお前が三兵団倒せよ。
しかし遂にストーカーの怪文書に拐かされたシドー君、ドン引きする周囲を余所に手下兵士ABCを引き連れてまたしてもムーンブルクへ独断特攻。
放っておく訳にもいかず、慌てて主人公、アネッサ、リックの三人で連れ戻しに向かいます、が……。
溢れ返っていた敵は倒したもののムーンペタ壊滅。
それはしょうがないとしても兵士ABC救出間に合わず全員死亡。容赦ねえなおい。
呆然とするアネッサに向かい、頭痛を堪えるような仕草をした後にシドーが言い放ちます。
「その者たちは、自らが望んで戦い死んだ兵士だ。
戦いの中で散れて本望だろう。
そして、その死は自らの無力さが生んだもの……。
呪うなら自らの無力さを呪う事だ」
なんという事でしょう、メドーサボールがとうとうLINE乗っ取り詐欺にまで手を染めてしまうとは。
やるならやるでせめてもうちょっと口調を本人に似せる努力くらいした方がいい所も現実の詐欺と似てます。天安門事件。
このあんまりな言い草にブチ切れるアネッサでしたが、敵の後続が大量に押し寄せてきてそれどころではなくなってしまいました。
四人で奮戦するものの多勢に無勢、あっさり教会前に追い詰められ、もう駄目かという時に露骨に怪しいスライムが登場。
機転を利かせて敵軍を退かせると、また会おうみたいなノリであっさり去っていきました。うーん、どう見ても味方ですけど何者でしょうね。
って、今はそれよりこっちの方が問題ですよ。
アネッサ「シドー! どうしてくれるんだ!?
確かに、彼らが死んだのはそれぞれの無力さのせいかもしれない。
だが! キサマが…!!」
リック「誰のせいかなんて、どうだっていい…。
みんな…みんな、死んで…。
うぉおおおおおーーーー!!」
もう駄目だこのパーティー。
帰ろう! 一回帰って飯でも食おう! そんで寝て起きよう! な!
まあ今回の件は間違いなく八割シドーの責任だけど、二割くらいはメンヘラ粘着ストーカーLINE乗っ取り詐欺師メドーサボール2が悪いんだ!
などと言っても伝わる筈がなく、アネッサはこの地に救いの神はいないからマジザオリク無理と嘆き、
リックはリックで再び僕死にたくない病が発症してしまいその場に蹲って呻き始めると割合に地獄絵図です。
ただ、そんな状況でも教会の中から聞こえてきた物音を聞き逃さないあたりはさすがのプロ。
シドー君、一人称が……。
あっ、もしかしてこれ乗っ取られてるんじゃなくて覚醒しかかってんのか?
*****
教会の中では一人のシスターが震えていました。
彼女の名前はミト、アネッサやリックとは旧知の仲です。シドーに匿われたおかげで辛くも難を逃れたのだとか。
よかった、駆けつけた事で救われた命は確かにあったんだね。三対一じゃ割に合わないけどな。
ひとまず敵の襲撃も落ち着いたみたいなので、犠牲になった三人にお墓を作ってあげるとしましょうか。
墓場は教会の裏手にあります。棺桶に死体を入れるとちゃんと蓋が閉じるのが細かい。
残念ながら引き摺って歩き回る事はできないようです。
「はっはっは…クリエ…。
ビルダーというのは、墓を作るのも得意なんだね…」
そろそろリックの精神状態がまずそう。
なんなんだその褒め言葉なのかジョークなのか皮肉なのか微妙なラインの上を行ったり来たりしてる台詞は。
ええっと、あとは穴を掘って棺桶を置いて、上から土を掛けて埋めて……。
……ううむ、どうも殺風景ですね。
十字架こそあるものの、本当にただ埋めただけって感じです。
ちゃんと弔ってもらえるだけ幸せだとアネッサは言いますが、せっかく埋葬までしたんだからお供えくらいしてあげたいところ。
手持ちに何か良さそうな物はなかったですかね。
ひとで。
シドー「ガラクタ作りは終わったのか?」
暴言に説得力を持たせる光景やめろ。
どうにか正気に戻ったシドーを連れて城に戻るとシスター・ミトが仲間に加わり、
ムーンペタの件を悼みつつも勝利への決意を新たにした王様からミッションを与えられます。
内容はもちろん例のラーメン三銃士の撃退。具体的に言うとデビルロード率いる獣魔兵団、スターキメラ率いる飛行兵団、
そして最強と名高いアークデーモン率いるデーモン兵団です。
相手は今までの寄せ集めと違って正規の軍隊な上に、それぞれが独自の耐性を持った魔物で構成されている為、
ただ殴っていれば勝てるというものではありません。要となるのは弱点を突ける魔法兵器の開発です。
まずは最初の相手となりそうな獣魔兵団への対策と、ついでに迎撃用の出城を作ってしまいましょう。
例によって建築は他の連中がやってくれますから、こっちはその間に船着き場に来ているというハーゴン軍の軍船へ情報収集に向かいます。
反省しても自重はしない破壊神の図。
敵と見るや突っ込みたがるシドーを、既に仲間が潜入しているから待てやとアネッサが制止します。
ムーンペタ事件の後だってのによくここまで冷静に接してられるなこの人。しかもシドー君謝ったには謝ったけどたぶん主人公にしか詫びてねえぞ。
まあとにかく真正面からの殴り込みは宜しくないとシドーも分かってくれましたんで、高台から風のマントで船の裏手に乗り込み、
そこで得た情報を元に船尾の穴から船内に侵入します。
出た場所はどうやら倉庫のようで、そこには何やら見覚えのあるスライムがいました。
ムーンペタで助けてくれたスライムですね。えらい早い再会となったこのスライム、アネッサの姿を確認するや変身を解きました。
この爺さんの名前はホッホ。かねてから潜入捜査を行っていたムーンブルクの仲間です。
で、こいつから貰った「へんげのつえ」をちょちょいと使えばですね……。
ご覧の通り。
各種の魔物だけじゃなくてただのジジイやバニーガールにも変身できるので、面白くてつい無意味に振りまくってしまいました。
本家ドラクエでの愉快な道具っぷりはこちらの世界でも健在です。ちなみにシドーだろうがリックだろうが容赦なく強制バニーガール化する上に、
うっかりそのままイベントに突入するとバニーガールの群れが画面内を縦横無尽に駆け回るという大惨事になる為、
くれぐれもシリアス成分をお求め時には注意してください。一周目から全員水着コスでラスボス戦に入るのが好きな人なら注意しなくていいです。
適当な魔物に化けて情報を聞き出し、牢屋に捕まっていた詩人のプットも救出。
それによれば獣魔の弱点は毛皮を燃やす火だそうなので、さっそく城に戻って新しい発明品の
ギラタイルを作ります。
これは設置型のトラップで、近くに置いた床スイッチを踏むと一気に火が噴き上がるという、控え目な名前に反してなかなかエグい代物。
あとはジロームの依頼で、戦闘中に目印になる「見はりのかがり火」も作成。これを設置した場所から兵士が出撃してくれるようになるらしい。
確かに、罠を設置してあるのにそれを無視して敵に突っ込んでいかれても困りますからね。聞いてますかシドー君。
いまだに頑なにビルダーになろうとしないアネッサや、城から消えたまま戻らない数人の兵士など気掛かりな点もいくつか残ってますが、
どうやら敵さんもそろそろ痺れを切らしてるみたいですし、やってみますか初戦!
皆が頑張って作ってくれた出城もなかなかカッコいい出来です。
真ん中に見える赤いやつがギラタイルですね。
……んー、でも相手は軍隊なんでしょう? 設計図通りに置いたこれっぽっちじゃ些か心許なくないですかね。
念には念を入れてもうちょっと増設しておきましょうか。あと余ったスペースにはトゲわなも置いてっと……。
プライベートライアンかな。
「獣魔兵団がきたぞー!」
え……ここに突っ込んでくるの? マジで?
こんな見えている地雷原に? 歩いたら死ぬのが普通に分かる場所に? マジ?
うわぁ……。
燃えてます。めっちゃ燃えてます。自分でやった事ながらあまりに景気のいい燃えっぷりに思わず笑っちまいました。
文字通りケツに火がついてるにも関わらず引き返す気配は一切ありません。直進コマンドしかないレミングスかよこいつら。
兵士が命令を選べないのは世の常とはいえ敵ながら天晴なり。
とか言ってたら間もなくやってきたボスまで燃え始めました。
お前ら潔すぎない?
あと「ここから出撃するから」と言われて作ったかがり火がまるで機能してないんですけど一体どういうつもりですかこの雑兵ども。
だから罠があるってのにわざわざ出城の外で戦ってどうするんじゃい! ワシとした事が……じゃねえよ!必然だよ!
こっちはさっきから必死に篝火引っこ抜いては刺し引っこ抜いては刺しの上下運動繰り返してるんだから少しは気付いてお願い。
ルンバだって仕事が終われば戻ってくるんですよ。敵も味方もレミングスしかいねえよ。
ああもうほとんど誰も残ってないじゃないですか。……しょうがない殴ろう。
「グガガ…まさか、このオレサマが…。
獣魔兵団が、ニンゲン、ごとき…に…」
だってあなたちゃんとそこにある罠を使ってくれるんだもん、そら死ぬがな。
*****
ギラタイル恐るべし。あんなに恐ろしかった獣魔兵団がまるで消し炭のように!
という訳で燃やせば生き物は死ぬの原則に従って獣魔兵団の撃退に成功し、喜びに湧くムーンブルクファミリー一同。
そんな中でシドーだけは一人浮かない顔です。どうも皆が「魔法兵器すごい!」しか言わないのが面白くないご様子。
実際に前線で命張って戦ってんのはオレたちなんだぞと言いたいようです。気持ちは分からなくもないけど、
その一緒に戦ってた連中も喜んでるんだからいいじゃん。
要は今非常に不安定な状態だから、褒めてもらいたいとか存在価値を認めてもらいたいみたいな心境なんでしょう。
お前いなくても大丈夫だよってなっちゃうと破壊神が人でいる為の心の拠り所が……。
ま、ともかく初戦はこっちの勝ちです。
この調子で飛行兵団もデーモン兵団も倒して、と思ってた矢先に何か来ました。
飛んでます。襲われた兵士CDは為す術なく死亡。また死んだ。
そのまま出城内に突入してきたガーゴイル達と戦闘に入りますが、浮いてるのでギラタイルの炎が全然届きません。
しょうがなく壁に登ってそこから一匹ずつ叩き落とすという初心に帰った方法で勝利。
これは次の相手は飛行兵団という事で間違いないですね。相手の翼をもぎ取れるような罠を新しく考案しなければ。
ミト「…クリエ様。
ムーンペタの時のようにお墓を作って、どうか彼らを弔ってあげてください…」
ああそうか、ザオリク使えないんでしたね。
ですがこれが戦争です。アネッサも言ってるように当たり前に人が死ぬのです。その覚悟なくして教団とは戦えません。
せめて平和への礎となった彼らの冥福を祈り、次なる戦いへの備えとしようではありませんか。
戦時下でただ埋めただけだと疫病が発生する危険があるので火葬にしました。
死体を食う魔物への囮としての効果も見込めて一石二鳥です。兵士であるからには肉の一片までも国に捧げるのが義務というものです。アーメン。
無事に弔いも済み、この一戦に触発されたのか町民から新たな兵士志願者が誕生したりと前向きな流れが生まれてきてますが、
目の前で兵士に死なれたリックはずっと曇りっぱなしです。
アネッサが言うにはリックの家族は全員魔物に殺されているそうで、だからこそ人一倍死を恐れ、抗う気持ちが強いのだろうという事です。
似た境遇のルルは今日も元気にモモガイケーキで人間と破壊神を殺そうとしているというのに。長く続いた戦争が彼を変えてしまったんや。
ここらで三回目の鐘。
これでベホマラーの使える回復兵が加わります。緑の服の奴です。
回転斬りを使えるのが青い服の兵士。スクルトを使えるのが赤い服の近衛兵ですね。
アネッサの訓練を受けていた町民たちも無事に兵士へジョブチェンジして、戦力はだいぶ揃ってきました。
あとは依頼も増えるので、武器庫や食堂を作って城内の環境を整えていきましょう。
といってももう使えるスペースが少ないなあ。
王様ちょっとそこで我慢しててね。
隣を武器庫にしても「素晴らしい!」と褒めてくれたし怒ってない筈です。たぶん。
さてそうなると残りの問題はスパイ疑惑とシドーの扱いですが、これがどっちも芳しいとはいえない状況です。
まずシドーの動向に関しては引き続きアネッサが警戒中。いくら強くても規則は守らないし何より得体の知れない恐ろしさを感じると。
目付きが悪いだけで怖くはないとフォローになってんのか分からんフォローを主人公がしますが、これに関しては正しいのはアネッサの方ですからね。
そしてスパイ問題の方はといえば他ならぬそのシドー君が噛み付いてます。地味なようでサイカワな兵士ゼセルがどんなに具体例を挙げても、
オレは一緒に戦う奴を疑うのは嫌だといって聞きません。まあシドー君の場合は疑惑がそのまま自分へも跳ね返ってくるからなあ。
自分自身が信用できなくなってる状況で人が人を疑いまくってる光景目の当たりにするのは辛いよね。
「なあ、クリエ。
オマエだってそうだろ…?」
そうだねと言ってあげたいところですが現実は厳しいんですよシドー君。
ここからは飛行兵団に備えた更なる出城の改築と、敵の野営地に出向いての情報収集を行います。
今回集めるのは、風を鎮めたり起こしたりできる風切りの羽。言われた通りに乾きの壺で周囲の毒の沼地を吸い込みながら探せばオーケー。
これで竜巻を発生させるバギバキュームが作れるようになります。
ついでに倉庫に隠してあったラーの鏡もゲットし、大収穫大満足で城へ帰ってきたのですが……。
また死んでる。
というかムーンブルクに入ってから人死にすぎじゃない?
「今まで遠慮しててごめんな! 戦争だからガンガン殺すからな!」みたいな勢いでバッタバッタ死んでいくこの温度差よ。しかも死体残るし。
よく見りゃ右端のルルみたいな髪型した女兵士、ついさっきアネッサに訓練受けて兵士になったばかりの町民じゃないですか。
新人だから真っ先に狙われたんですかね、かわいそうに。相手が同僚に化けてたんじゃ警戒心も薄くなるでしょうし。
王様「せめてこんな時に、真実を映し出すというラーの鏡があれば!」
あるよ。
そりゃこうなりますよね。
持ち帰ったばかりのラーの鏡で即席魔女裁判の開始です。果たしてナイスタイミングと言っていいんでしょうかこれは。
シドーはめっちゃ嫌がってますが、しかしこのまま放置しておいたのでは第二第三の犠牲者が出てしまうのもまた事実。
ここは心を鬼にして片っ端から踏み絵らせていくしかありません。最初はリックに、次はアネッサに、さあ次はシドー君の番ですよ。
ああ、シドー君がどんどん傷付いていく。
単純に仲間が仲間を疑ってるって現状が嫌で仕方ないんでしょう。基本優しい子ですからね。
純粋無垢な少年には味方兵士の死体ですら餌にする過酷な戦場は早すぎたのです。送り出すならもっと目が死んでからでないと。
でもここでシドーだけ除外したら今度は主人公とシドーがスパイ疑惑筆頭に挙がってしまいますし、やりたくなくてもやるしかないのですよ。
あと正直に言わせてもらえば何が映るのかだいぶワクワクしてたってのもあります。ゲームプレイヤーの探究心の前には良心などいつだって塵同然です。
お前だってOblivionで誘拐犯から助け出されて「My hero!」とか慕ってくるアルゴニアンを遠距離から射殺しただろ。正直に言え。
といったような欲望の赴くままにシドー君にほいっと鏡を向けるも、何故かそこには何も映っていませんでした。
てっきり例のトカゲがババーンと出てくるものと予想してたので肩透かしです。
とはいえ何も映らないのも充分怪しいですから、そこは流しちゃっていいのかって思いますがね王様。
「……それにしても、まさかオマエが
オレにまでそんな物を向けるなんてな。
チッ…なんだか気分が悪いぜ…。
オマエ、オレのこと信じてないのか?」
とうとうシドー君が主人公に背中を向けてしまいました。背中を預けるのとは意味が違います。悲しいなあ。
信じる信じないの問題じゃなくて、やらないと尚更厄介な事態を招きかねない予防接種みたいな話なんですけど、
シドー君としては「シドーだけは大丈夫だから」と跳ね除けて欲しかったんでしょうな。
まあこういう主人公だから仕方ないね。
その後一般兵の中に紛れていた魔物スパイをその場で処刑して、事態は一応の収まりがつきました。
しかしこれ、本当にスパイが混ざってたって事実がまたシドーのダメージになってそうだな。
結局は疑ってた連中の方が正しかったって証明になってしまいましたし。
戦争と諜報は切っても切り離せない関係なんだ、元気出そうよシドー君。
駄目かもしれません。
破壊神のガラスのハートはもうボロボロ。
ま、まあ戦いが始まれば細かい事なんか忘れて楽しくなってくるよ! うん!
うん……。
わー。
こりゃまた派手だな。落下した鳥どもを容赦なく巻き込んで燃え上がるギラタイルの炎で火災旋風みたいになってる。
モンゾーラやオッカムルでの戦闘って、ボス戦を除けば単なる雑魚散らしの消化イベントでしかなかったけど、
ムーンブルクに来てからというもの画面に動きがあって、正直この戦争イベント楽しいです。
その代償でどんどん削れていくシドー君のメンタルに等価交換の無情性を感じる。
戦闘自体は地面に落とせてさえしまえばどうって事ありません。たまに竜巻発生のタイムラグをくぐり抜けてくる奴がいるので、
そういうのにはホッホから貰った手投げ式の爆弾を使って撃ち落とすか、やっぱり壁の上に登ってジャンプ斬りで倒しましょう。
事前に大量の爆弾を作っておいて、出城で一番高い場所に陣取り投擲しまくると画面が一層賑やかになって面白いのでオススメ。
物量に物を言わせた絨毯爆撃に勝てる敵など存在しないと米軍も言ってらっしゃいます。
チョロギみたいな腹して何言ってんだお前。
飛行兵団も倒し、残すところは最強と謳われるデーモン兵団ひとつのみ。
お約束のように直後に襲撃してきたさまようよろい軍団を見るに、連中にはデインバリアもギラファイアもまともに通じません。
となると何か新しい魔法兵器を開発しなければなりませんが、ひとまず今日のところは充分な休憩を取っておきますか。
あ、スパイまだいた。
会話内容からすると城から持ち出した何かを敵に渡しているみたいです。なんでしょう、エッチな本でしょうか。
まさかこの時失ったエッチな本がムーンブルク国王、アネッサ、リック、そしてシドーの命を失う引き金になろうとは、
誰一人予想していなかったのであった。次回ドラゴンクエストビルダーズ2最終回「無修正」お楽しみに。
*****
翌日は朝からアネッサと内緒話。
だいぶ揺れてはいるものの、いまだにアネッサだけはビルダー堕ちするのを拒んだままです。
教団の教えについて、絶対と呼べるものは外から与えられるものなのだろうかと疑問を抱き始めてますから、もうちょいだと思うんですけどね。
なんて話をしてたら、呼びにきたシドーから二人っきりかよずいぶん仲が良さそうじゃないかと刺々しい言葉をかけられました。
嫉妬か。嫉妬なのか。うーんなんかもう尽くがシドー君の心情にとって悪いタイミングで運んでて、
この手のストレス展開に弱い人だったらそろそろ胃に穴が開きそう。これも全部ハーゴンって奴のせいなんだ。
鳴らした鐘パワーでよりによって牢屋の壁だの捕虜の鎖だのが作れるようになってますし、
主人公もこの状況下でシドーが見ただけで傷付くようなもん思い付くなよ。そんなだから笑顔の向こうに深い闇を孕んでるとか言われるんだよ。
ちょっと囮用の置き餌を増やしただけなのに。
丁度いいからシスターに頼まれてた教会もこの近くに建てました。出城の中に教会があれば死ぬそばから埋められて便利でしょう。
あとは出城の増築と対デーモン兵団用魔法兵器の開発、それとホッホの頼みで、戦争終結後の宴で花火を打ち上げる為の砲台を作成します。
些か気が早すぎにも思えますが、戦意高揚の効果を考えれば勝った時のお祝い準備をしておくのは悪い選択ではありません。さくっと完成。
ええと、そうなるとこれで残ってるのは豪華な玉座の間ですか。
確かに今の玉座の間が酷すぎますからね、直すのは賛成です。むしろあれで文句ひとつ言わない王様は修行者か何かか?
しかし玉座を直すのはいいとしても条件となる超広い部屋となると、だいぶ城内埋まってきてますからなかなか見付けるの難しそうですよ。
うーんうーん、超広い部屋のスペースを確保しても問題がなさそうな場所……うーん……。
ここだ!
床を一段下げる事で他とは違った特別感を演出。
壁には作れるようになったばかりの牢屋の壁、水路には汲んできたばかりの毒の沼地と、王様に相応しく何でも一番乗り。
床は大地のぬくもりを直に感じられる土です。ジャガイモも植えられるから、たとえ国民が飢えて死のうと王侯貴族だけは食料に困りません。
あたたかみと同時に身分格差が生む命の価値の差を冷静かつ冷酷に描き出した我ながら名設計といえましょう。
王様もさっそく直したばかりの豪華な玉座に腰掛けてご満悦です。期待に応えられて何より。
でも足元がちょっと寂しいですね。こういう部屋に欠かせない真っ赤な絨毯がないからかな。
何か代わりになりそうな物はあったでしょうか。
ひとで。
全員の依頼にも完璧に応えたので本題の情報集めに向かいます。
目標はムーンペタ南にある氷の塔。ここでデーモン兵団の弱点である冷気を作り出す道具が手に入ります。
しかし話を聞いている最中に問題発生。怪しんだ敵が使ったラーの鏡により、主人公たちの変化が解けてしまったのです。
慌てて皆殺しにして事なきを得たものの、ラーの鏡は確か今はアネッサが保管していた筈ですが。
リック「まさかとは思ったんだけど…。
これは僕のカンが当たってしまったみたいだ…」
そうですか。
リックが言うには敵のスパイはアネッサらしい。そうですか。
前々から怪しいと思ってはいたらしい。そうですか。
今回アネッサの代わりに来たのも証拠を掴もうと思ったからだと。そうですか。
迫真の台詞三連でわたしが犯人ですしてくるのやめーや。ここまで僅かに残ってたアネッサ真犯人疑惑が今ので完全に消えたぞ。
演技の加減というものを知らないこのスパイダーマンはもうボロ出すのを待つだけとして、
特に演技する必要もなく最初から殺せば話が早かったボスの裏側にあった宝箱から千年氷の結晶をゲット。
これで最後の魔法兵器、ヒャドトラップが作れるようになります。いざ、更に増築された出城でデーモン兵団との決戦に臨まん!
「クリエ…オマエが作った魔法兵器は確かにすごい…。
だが、戦うのはオレの役目だろ?
魔法兵器があるからオレはいらないだなんて言うんじゃないぞ!?」
誰もそんな事言ってないよシドー君!
ここまでいまいち乗り気じゃなかった理由のひとつが、高性能な兵器が増えれば増えるほど、
主人公の隣という大切な自分の居場所が奪われていくように感じたからであって、ここにきて遂にその不満というか不安が爆発。
シドー君めっちゃイライラしてます。これは勝っても負けてもロクな展開が待っていない気がしてなりませんよ。
で、勝つには勝ちましたが……。
あかん。
本性剥き出しにするのが早すぎだろうこのスパイダーマン青。
どう考えてもぶち込まれます。フフフここまで良く頑張ってくれましたねあなたはもう用済みですってやつです。
とはいえ作らなければ話が進まない訳で、リックに指示された通り地下室に設計図を敷いて牢屋を作ります。
物が物だけにノリノリで図面描いてキャッホウする主人公の姿からいつになく畜生感漂ってます。さすがは底知れぬ闇を秘めてるだけある。
「牢屋が完成したんだね…ありがとう、クリエ。
実はね…ここに誰を入れるかは、もう決まっているんだ」
あかん。
*****
リック「……すまない、クリエ」
すまないじゃねえ!! やめろ、それはマジでやばい!!
今のメンタルメトロノームな破壊神にこれ以上人間への不審感を抱かせてはならない!! 爆ぜるぞ中身が!!
キミの危険性をアネッサが王様に進言してこうなったとリックがどう見ても嘘でしかない経緯を説明しますが、
そういう事を言ってるんじゃないと妙に落ち着いて答えるシドー。
「クリエ…オマエ、この牢屋、オレを入れる為に作ったのか?
コイツらの命令を聞いて?」
ああそうか、確認したいのはそこだけなのか……。
この口振りとさっきの冷静な反応からして、シドーはシドーなりに自分の暴れっぷりが周囲から怖がられてる事と、
警戒した連中がそのうち何かしてくるかもしれない事は想定していたように思えます。
だから自分を捕まえて牢屋にぶち込んだ事自体は別にそこまで気にしてなくて、ただそこに主人公が加わってた事だけがショックだったと。
シドーにしてみれば主人公からも疑われてたようにしか思えませんからね。実際には誰も疑わなかったからこんな結果になってるんですが。
どうにか弁明しようとするも「言い訳は聞きたくない、見損なった」とシドー君は一切の心を閉ざしてしまいました。
たぶん笑いながら言い訳してたのが原因だと思います。主人公の秘めた闇が濃さを増していくのを止めない。
それにしても、ここに至るまでの話の流れというかシドーの追い詰め方は見事の一言ですね。
己が正体への不安と破壊衝動が払拭されないまま徐々に徐々に居場所を奪われていき、最も信じていた者の裏切りという形でとどめの決定打を与える。
完璧です。シナリオライターの手腕でしょう。
これ以降牢屋のある地下室には兵士が常駐し、投獄されたシドーとは会話すら不可能になってしまいます。
そんな最悪のタイミングを見計らったように、島の大ボスである大巨人アトラスが帰還。戦闘に突入してしまいます。
敵の数が多いだけに主人公のレベルもモリモリ上がっていきますが、そこにシドー君はいません。勝ってもハイタッチも出来ません。
これが思ってた以上にキツくて驚きました。
なにせゲーム開始直後からシドーとはずっと一緒でしたし、戦闘もレベルアップも成功のハイタッチも一度も欠かさずにここまで来た訳です。
それがいきなり無くなるとこんなに寂しいもんかと。なるほど、これがジロームの言う今まであったものがいきなり奪われた時の喪失感……。
この辺の感情を、文章での描写じゃなくてゲームプレイを通して自然と育つようにしてあるのもまた巧いですね。
ここまでゲームを進めた時点で、横にシドーがいないのが異常事態という認識をプレイヤー全員に植え付けているんですよ。システム通して。
シドー……必ず出してやるからな。既に手遅れっぽいけど。
ここからは超巨大生物であるアトラスを迎え討つ為の超兵器、ミナデイン砲の発射台である副塔を作っていきます。
ミナデイン撃ったってそこにシドー君はおらんのやでと早くもやさぐれ気味。
設計図は描いてやったんだからシドー出してやってくれよと一応王様に頼んでみますが、
危険視する家臣が多い事とラーの鏡に映らなかった一件もあるからまだ駄目だと却下されました。
ちゃらんぽらんなようでいてもトップはトップという訳ですか。ここにきて遂にゲーム開始以来初めて主人公から笑顔が消えてしまいました。
周りから「いつもニコニコしてるのにどうした?」みたいな事を聞かれまくるのが、これまでアホみたいに笑顔を強調されてきただけに辛い。
シドーを入れる牢屋を作ってる時も投獄した言い訳をしてる時も常に笑っていたあの主人公さんが!みたいに噂されてるんでしょうか。
闇が深すぎて敵に勝ったらこいつ真っ先に処刑した方がいいなと思われてそう。
ひとまずシドーに関しては今は何も出来ませんので、塔作りに取り掛かります。
ここからは素材集めも全員でやってくれます。取ってくるのは大樹の時みたいなキーアイテムだけ。
皆から話を聞いて、壊れた大灯台の女神像やら海に沈んだローラの門にあるという「まりょくのオーブ」やらを集めてきます。
なお、ここで王様に本来の記憶が戻りかけている事が発覚しました。
主人公と同じ世界の住民だったのか、鐘効果で平行世界の記憶と混ざったのかは定かではありませんが、
王様の知る限り大灯台もローラの門も壊れてはおらず、そもそもムーンブルクは一回滅ぼされた後で再建している筈なのだと。
そして世界がおかしいという事には薄々スパイダーマンも気付いている模様。
まあ戦争に勝とうが負けようが滅ぶなんてふざけんなみたいな密談してたくらいだしな。真実分かっちゃったから裏切った系か。
そうこうしている間に塔も二つ完成し、いよいよ残すは最後のみ。
最後に必要となる「ゆうきのオーブ」はなんでも地獄に例えられるほど危険な場所にあるらしく、
主人公だけでは危険だから全兵士を率いて行けと言われ、その為の秘蔵アイテム「勇者のはた」を貸してもらえます。
おお、ドラクエにおける最大の突っ込みどころ「勇者だけで行かせないで最初っから軍隊貸せや」がこんな所で実現しようとは。
こいつは振るたびに周りの兵士にATKバフがかかり、しかも三段階まで重ねがけ可能という優れもの。
装備した姿もなかなか様になっててカッコイイ。FGOのジャンヌっぽいな。
これがあれば怖いものなんてありませんよ。
さあ、早くその地獄のような場所とやらを紹介してください!
「それは、ロンダルキアと呼ばれる場所だ」
いやだーーーー!!!!!
アネッサ「しかし、全軍で行くというのは城の守りを考えるとどうかと」
そうだ、もっと言ってやってくれアネッサ! 常識を説け!
冒険なんて勇者とそのお花畑な仲間たちにやらせておけば充分です、勝ち負けも分からない個人の為に国が動くなんて冗談じゃありません。
あ、私は勇者でも兵士でもない単なる一介のビルダーですんでロンダルキア送りは遠慮させて頂きますね。
リック「アネッサ! キミはやっぱり勝つ気がないのか! ここは全ての力を賭けるところだろう!」
青スパイダーマンは黙って。
嫌だって言ったのに。
幸い厭らしいトラップや落とし穴の類はなく、旗振りによる全力突撃が強すぎるおかげで進むのに支障はありません。
キラーマシンだろうがドラゴンだろうが主人公は走り回って旗振ってるだけで勝手に死んでいきます。
経験値稼ぎに使えそうな気がしますが、ここまでの戦いでレベルはカンスト間近にまで上がってしまってるのが残念。
クリア後にレベルキャップ外れるなら有効利用できそうですね。ここはぐれメタルも出るし。
一方その頃シドー君はジェネリックメドーサボールと会話していた。
友達にひでえ真似しやがるなあの底知れぬ闇を抱えたビルダーと煽るハーゴンに、それでも主人公を庇おうとするシドー。
それに対してハーゴンは、破壊神とビルダーが互いに相容れぬ存在だという事はもう理解してるんでしょうと追撃します。
自分は破壊神じゃないというなら、なんであなただけいつまで経っても物が作れないのかと。真実を映す鏡に姿が映らないのかと。
自分を抑える必要はなく、悩む必要もない。全てを破壊すれば気分も晴れて、本当のあなたになれるのだと。
シドーはこれを一喝。まだまだ屈していないようですが、これはもう時間の問題かなあ……。
主人公が帰った時が決裂の時。あたたかく出迎えてもらえないのが出発時から確定してるって悲しい事だね。
ーーと、そんな光景を見た気がしました。
それは現か幻か。遠いムーンブルクの城に独り残る相棒の叫びが聞こえたようで、
ぼんやりしていた主人公がアネッサの呼びかけに我に返ると。
ロンダルキア。それは全ての悲しみが集う絶望の地。
の、筈だったんですけれども。
*****
洞窟を抜けた先にあったのは雪国、じゃなくて大層美しい緑の世界でした。
やあ綺麗だなあ。ずっと沼と砂漠と銀世界しか見てこなかったから反動で余計に美しく見えるよ。
いや冗談抜きで、洞窟抜けてこの光景が広がっていたのを見た瞬間には感動しました。ゾクッときたと言ってもいい。
綺麗は綺麗なんだけど、綺麗なだけにより一層違和感が際立つっていうね。
ここだとまともな景色の方が異物なんですよ。例えるなら山でキャンプしててふと外を見たら着物姿の女が立っててこっち見てたみたいな。
高台から風のマントで滑空していくと、真ん中あたりの遺跡にスライムがいるので話しかけます。
キミ達はここの幻とはちょっと違うみたいな事を言ってくるスライムを、どういう意味だとアネッサが問い詰めますが、
スライムは、この世界はモンゾーラの大樹もオッカムルの酒場も含めて全部ただの幻で、幻はいつか消える運命だと繰り返すばかり。
「ここはね。
ハーゴンさまが、ロトの三勇者を招き入れるために作った場所なんだ」
………………。
『DQ大辞典を作ろうぜ!!(https://wikiwiki.jp/dqdic3rd/)』より
これかーーーー!!!!!
気付いてたか気付いてなかったかと言われれば一切合切全く気が付いてませんでした!!
てっきり平行世界とか異世界とか、せいぜい破壊神孵化の為に急ごしらえした適当なハリボテワールドだとばかり。
いや適当なハリボテなのは間違っちゃいなかったんですが、まさか正真正銘ドラクエ2から設定引っ張ってきてたなんて誰が思うよ!!
前作やってりゃ思うのか!? やってないから今この瞬間まで心構えまるで出来てなくて死ぬほどびっくりしたわごめんな!!
つまりドラクエ2でハーゴンが勇者三人組を惑わす為に作った幻が、実はローレシア城だけじゃなくて世界丸ごとひとつ構成するもので、
あの時に作られた幻の世界こそがまさしくビルダーズ2の世界に他ならないという事になります。
なんちゅうネタを拾って話作ってくるんじゃい。
この時点でビルダーズ2は、よくある世界観だけ借りた続編ではなく、2がなければ成り立たないマジもんの2の続編へと昇華を果たしました。
同時にこれまで散々メンヘラLINE詐欺師扱いしてきたハーゴンの株も急上昇です。城どころか世界ごと作ってたのかよ。これは大神官ですわ。
じゃあスライムが言う、この奥にあるっていう城は……。
うおお……。
いや素直に参りました。脱帽です。
繰り返すけど前作やってるか、間近でリメイク版なりアプリ版なりのドラクエ2をやってればすぐ気付いたんだろうな。
でもこのネタに関してはむしろ終盤まで気付かなくてラッキーだったよ。これだから良質なRPGは堪らない。
ローレシア城の内部も設定のまんまです。上で書かれてるミリエラさんもちゃんといます。
調べてないけど、きっとNPCのこういう台詞もちゃんとゲーム版と同じなんだろうな。すげえな。覚えてた人は震えただろうなあ。
城の二階では王様がバニーガールをはべらせて遊んでましたが、話しかけるとかゆうま化して全員消滅してしまいます。
そして逃げ道を塞ぐように、主人公たちが入ってきた扉からは魔物たちの群れが現れました。
魔物「そなたの働き、素晴らしかったぞ。さあ、こちらに来るがいい!」
リック「はーい」
知ってた。
アネッサびっくりジローム激怒プレイヤー予定調和。
裏切りのご褒美にリックが要求していたのは、魔物にしてもらってハーゴン教団の仲間に入れてもらう事でした。
ここで「ははは愚か者め!! まさか人間が本当に魔物になれると思っていたのか!?」と敵さんが大爆笑してくれたら面白かったんですが、
ちゃんと約束は守る模様。良かったね。すぐ殺すけどな。
はい。
シルバーデビルなんかになるから……はぐれメタルならワンチャン逃走あったかもしれないのに。
教団と接触する前から、やはりリックもこの世界が幻だという事に気付いていました。しかし尋ねても王様は何も答えてくれず、
ちょうどそんな時に、うまく働けば仲間にして滅びの運命から救ってやると持ち掛けられてコロッといっちまったみたいですね。
人一倍死を恐れていたリックにとっては到底抗える誘惑ではなかったのでしょう。
最後に、お前ずっと教団なんか信じてなかっただろうとアネッサに言い残してリックは消滅しました。セミより羽化後の寿命短かったなお前。
幼馴染の死を嘆くアネッサ。裏切り者といっても、ずっと共に戦ってきたんだから簡単には割り切れないのも無理はありません。
せめてこの勇気のオーブを使ってミナデイン砲を完成させ、見事アトラスを倒す事で彼の魂への慰めとしましょう。
……ところでそれはそうと、何か忘れてやしませんかねここにいるムーンブルク全兵力の皆さん。
順当。
何が起きているのじゃ!じゃありませんよ。だから全員連れてったら守りが危ないってアネッサが言ってたじゃないですかもう。
100%予想できた結果だった上に攻めてきてるのがよりによってドラゴンです。さすがに強いですが旗振りまくってさくっと倒しましょう。
ドラクエの戦闘画面だとコミカルな印象が強いドラゴンもリアル等身にされると思いのほかデカくてビビりますわ。
ボス格のダースドラゴンが城内で大暴れしたせいで、せっかくの玉座の間も粉々になってしまいました。
先のデーモン兵団のイオナズン連発といい、このゲーム敵の攻撃であっさり建物がぶっ壊れるんですが、
なんというか美麗CGで作られた美術品みたいな建物が崩壊するよりも見てて壊れた感が強いんですよね。
手が出せない背景と違って自分で積めるブロックだから逆にそう感じるのかな。
王様「……そういえば、リックの姿が見えぬが…。
あやつはどうしたのだ?」
スパイダーマンならエイプマンになって死んだよ。
*****
どうにかこうにかドラゴン兵団を撃退し、後片付けと修復に忙しい城内でいろんな話が聞けます。
リックが指摘していたようにアネッサが最初から教団を信じておらず、裏切り者の気配を察してずっと本心を隠して行動していた事。
それでも主人公にだけは本心を明かしておくべきかと悩んだようですが、敵を騙すならまず味方からという王様の言葉を聞き、
最後まで隠し通す決意を固めたみたいです。実際にはただの建築大好きお姉ちゃんだった訳で、ようやく解禁された今後は色々はっちゃけそうな予感。
あと王様は現実世界の住民じゃなくてこっちの世界の幻で、何らかのバグで記憶が混在してる状態のようですね。
リックを救ってやれなかった事を悔やみながら、この世界にはいない自分の娘、ムーンブルクの王女がどうなったのかを気にしています。
まあハーゴンもシドーも倒したしうまくやってるんじゃないですかね。その辺は2の二次創作勢がうまくやってくれてる筈です。
「そうか…それは良かった…。
王としては失格かもしれんが、父としての役割は果たせたようだ…」
安心できたようで何よりです。
ところで塔も完成してミナデイン砲も撃てるようになりましたし、いい加減シドーを牢屋から出してやっちゃくれませんかね。
「おお! そうであったな!!」
忘れるなよおい。
大丈夫でしょうかシドー君。存在だけは忘却されてないぶん下手したら監獄島の方がまともに人としての扱い受けてそうです。
とにかくこれでやっと牢屋の鍵を渡してもらえました。急いで地下牢へ向かいます。
この件に関しては主人公が終始暗い顔をしてるのを何人もから指摘されたり、主人公は主人公で国が滅ぼされそうになってるってのに、
敵の親玉なんぞどうでもいいからシドーを出せと言ったり謝るなら自分じゃなくシドーに謝れと言ったりかなり強めの主張をしてる為、
ここまでずっと常時ニコニコ笑顔を強調されてた事との対比もあって、無口系主人公でありながら非常に心情が分かりやすくなってますね。
シドー投獄時にも笑ってた深い闇の件は言い訳できないとしても、それだけ主人公もシドーを大切に思ってるって事なんでしょう。
おーいシドー、大丈夫か? もう外に出ていいぞ、良かったな!
「へー強い敵が来たら外に出すのかよ」
「閉じ込めといて困った時だけ頼るとか虫が良すぎない?」
「うるさいだまれ言い訳は聞きたくない」
ですよね。
そりゃそうだとしか言いようのない反応に事態の深刻さが伝わってきます。
こいつはやべえと見たのかアネッサが駆け込んできて手違いを謝りますが、これに関してはシドーも突っ掛からず、
逆にムーンペタでの件を改めてちゃんと詫びる有様。なんか態度違いすぎません? 割とどうでもいい事に関してはさほど気にしてないのか。
やはり主人公に裏切られた事だけが特大の地雷だったのか。どうか許してくれシドー君、これも全部底知れぬ深い闇のせいなんだ。
「クリエ。
アトラスとやらの相手はしてやる。
だが、そこまでだ。
牢屋を作った事も、都合のいい時だけオレを呼んだのも…。
もう、何もかもイケすかない。
やっぱり、物を壊すだけが取り柄のオレと、ビルダーのオマエが合う訳がなかったんだ」
こんな所で別れ話しないでくれシドー君。途中から話の趣旨が変わってるようにしか聞こえねえから。
見ろよ後ろのアネッサが死ぬほど気まずそうにしてるだろ。
えっ、えっ?これうちらのせい!?どうしよう!みたいな。
どうでもいいけどシドー君が話す時にいちいち主人公の名前呼ぶの萌えますね、犬みたいで。こんな事言ってるから別れようって言われるんだよ。
実際アネッサにとってこの展開はショックだったらしく、私も手伝うから絶対仲直りしてくれと懇願めいた頼み方をされます。
あの調子だと仲直りするより闇落ちする方が早いんじゃないですかね。とりあえず先にアトラスを倒しましょう。
VSアトラス。でかい。
中央の塔にある勇気のオーブに触れるとミナデイン砲を発射できますが、最初の一発は必ず防がれます。
続けての雑魚の襲撃と、足踏みによる衝撃波を大縄跳びで避けつつアトラスが疲労するのを待ち、
動きが止まったら再充填が完了したミナデイン砲を目に向けてぶっぱすればオーケー。倒れたところを全員でタコ殴りです。
あとはこれを繰り返せば勝ち。ちなみに衝撃波に直撃されるとえらい高々とふっ飛ばされて面白い事になるので、試しに食らってみてもいいかも。
無事に倒せば「はじまりの紋章」を入手できます。あとはこれをロトのかがり火に掲げればミッション完了、ムーンブルク完全制覇です!
高々と天目掛けて昇っていく聖なる炎を見て、次々に姿を現すムーンブルクの住民たち。
数百年に渡る戦で荒廃しきったムーンブルクが、彼らの手によって復興を遂げるのもそう遠い日の話ではないでしょう。
めでたしめでたし……とはならないよなあ。
その日の夜は勝利を祝う宴が開かれましたが、シドー君だけは人の輪を避けて一人絶賛やさぐれ中です。
牢から出た時に主人公にぶつけてしまった言葉を後悔している様子。
いやあれは極めて妥当な反応だったと思いますがね。むしろアイツまだ拗ねてるから声かけてやれよーみたいなノリの他の連中の方がどうかしてます。
勝利の興奮ですっかり頭がお花畑になってる連中の中で、唯一まともに二人の仲を気にかけてくれるアネッサさんはムーンブルクの良心。
俯いてるシドーを花火を見に行こうと誘っても、オレの力なんかもう要らないだろ、この関係も島に戻るまでだ、お前とはもう絶交したんだと取り付く島もありません。
だからどうしていちいち言い方が別れ話じみてくるのか。引っ込みがつかなくなってるのはその通りだろうけどやっぱそれ他人が言う事じゃないよねムーンブルク王よ。
こいつはシステム的な話になりますが、これまでシドーって主人公の動きをずっと目で追ってたんですよ。
それが今は、主人公が前に立つと視線を逸らすように変更されてるんです。こういう演出も細かくて巧いなあと思うね。
おそらく全国のプレイヤーがシドーと一緒に見たかったと思ったに違いない締めの打ち上げ花火。
大団円のシーンだってのにここまで嬉しくなく感じさせるのすげぇ腕前だな。いや皮肉とかじゃなしに、100%狙ってやってる演出だから本気で凄いと思うよ。
せっかくの色とりどりの花火も全部色褪せて見えます。帰ってこいシドー君、一緒にイカ焼き食おうぜ。
明けて翌日は恒例の勧誘タイム。
今回誘えるのは自称地味女ゼセル、ジローム、シスター・ミト、変化爺さんホッホ、詩人のプット、そして主人公に弟子入りしたアネッサです。
さすがに王様は来てくれませんでした。島を出る前に仕掛けた罠を全部持っていくようしつこいくらい念を押されるので、これも回収。
戻ったらイベントがあるんでしょうね。準備ができたら船着き場へ行きましょう。
いつものように居残り組による見送りタイムが待っています。
ここでも一人だけ目を逸らしっぱなしのシドー。
とにかく今は無闇に刺激せず、アネッサが言うように落ち着いてくるまでそっとしておくしか方法は……。
王様「……して、シドーよ。そなた、いつまでむくれておるのだ?」
おいやめろ馬鹿。
王は人の心がわからない。
こっちも相変わらず暗い顔なままの主人公を気にしての発言だったようですが、仲裁のつもりが火に油にしかなってませんってこれ。
案の定うるさい黙れと身も蓋もない言葉でシドーはこれを一蹴。いくら何でも王に向かって口が過ぎると怒るジロームに、シドーは笑いながら答えます。
「王、か…。
ハッハッハ! 王だったら神の方が偉いだろ?」
もう駄目みたいですね……。
勝ったってのに全くすっきりしないまま、一行は船に乗ってからっぽ島への帰路を辿ります。
ゲーム始まって以来最悪の空気での船出。終わりの時は近い。